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最近、YouTubeで
こたけ正義感さんのスタンドアップコメディ『弁論』を観た。
1月18日まで無料公開されている作品だ。

正直、大人気ライブでチケットの倍率もかなり高かったらしい。
その導入から始まる「客席の前方と後方で“育ちが違いそう”」という軽い笑いで、
一気に空気を掴むのがうまい。

ただ、この人のすごさは
軽い笑いのまま、いつの間にか“制度の話”に連れて行くところだと思う。

たとえばチケット転売の話。
転売そのものは本来違法ではない。
けれど、ライブチケットに関しては
「定価を1円でも超えたら違法になる」という、
きわめて明確な線が法律で引かれている。

その「適法と違法の境目」を、
転売サイトの価格順一覧で可視化してしまうくだりは、
笑いながらも「なるほど」と思わされる。

しかもその場にいる観客自身が
“もしかして自分も当事者かもしれない”
という位置に立たされる構造になっている。

ここで笑いは一度ピークを迎えるのだけど、
このライブはそこで終わらない。

京都文化と司法の話、
家庭内での“法教育”の話を経て、
だんだんとテーマは
「日本では、法や制度がどう誤解されたまま使われているか」
というところに収束していく。

特に印象的だったのが、
いわゆる「いのちの砦裁判」や、生活保護にまつわる話だ。

こたけさん自身、
家計が決して裕福ではない家庭で育ち、
大学時代には
「貧困は自己責任なのか」というテーマで論文を書いたという。

ここで語られるのは、
「生活保護を不正受給する人がいる」というよくある話ではない。

むしろ問題にされているのは、
本来、生活保護を受けるべき人が受けていない現実だ。

制度は存在している。
法律も整備されている。
けれど、

  • 知らない
  • 誤解している
  • 恥や恐怖で声を上げられない

そういう理由で、
制度にたどり着けない人がたくさんいる。

この構造は、
チケット転売の話とも、
子どもの「刑事ごっこ」の話とも、
全部つながっている。

知らないまま判断してしまうこと。
制度を“雰囲気”で理解してしまうこと。
そして最後に「自己責任」という言葉で片づけてしまうこと。

スタンドアップコメディを観ていたはずなのに、
気づいたらそんなことを考えていた。

『弁論』がすごいのは、
正解を押しつけてこないところだと思う。

ただ、
「ここに線が引かれている」
「ここで誤解が起きている」
という地点を、
笑いながらそっと指さしてくる。

観終わったあと、
少しだけ自分の見方が変わっている。
そんなタイプのエンタメだった。

笑いながら観ていたはずなのに、
気づいたら「制度って誰のためにあるんだろう」と考えていた。
そんなスタンドアップコメディでした。

最後にもうひとつ。
こういう完成度の高いライブを、期間限定とはいえ無料で公開してくれたことに、素直に感謝したい。

観る側は「無料で助かった〜」で終われてしまうけれど、
つくる側には当然、時間も労力もお金もかかっている。
しかも『弁論』は、ただの娯楽で終わらず、
こちらの思考を一段深いところまで連れていく作品だった。

だから私は、もしこれを観て「よかった」と思った人は、
できる形で応援するのもいいと思う。

グッズの購入が応援になるそうなので、私も購入したい。
(セブンネットのページはこちら)
https://7net.omni7.jp/search/?keyword=kotakeseigikan_goods

無料公開で受け取った分を、少しでも“返したい”。
そんな気持ちにさせてくれるライブだった。

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