
2013年卒、はざまの世代から見た労働社会
それは氷河期世代の話でしょ?」
就職や働き方の話をすると、
そう言われることがある。
たしかに私は氷河期世代ではない。
大学を卒業したのは2013年。
いわゆる「ゆとり世代」に分類される。
でも、
「じゃあ恵まれてたのか?」と聞かれると、
どうしても首を縦には振れない。
この記事の目次
2013年卒という、微妙な立ち位置
私の兄は、リーマンショック直撃世代だ。
就職氷河期の延長線で、
努力や能力以前に“席がなかった”世代。
私はそこから数年後、
「景気は回復したことになっている」時代に
社会に出た。
求人倍率は回復傾向。
ニュースでは「売り手市場」という言葉も出始めていた。
でも、現実の選択肢はこうだった。
- 正社員の枠はあるけれど、条件が弱い
- 非正規、派遣、業務委託が当たり前
- 「まずは経験を積もう」が常套句
- 不安定さは、個人の選択の問題にされる
入口はある。
でも、床が抜けている。
そんな感覚だった。
「選べたこと」にされていく違和感
氷河期世代のしんどさは、
社会的にもようやく言葉にされるようになってきた。
一方で、私たちの世代はどうだったか。
- 働き口がなかったと言うと
→「でもゼロじゃなかったでしょ」 - 条件の悪さを訴えると
→「選んだのは自分だよね」 - キャリアが不安定だと言うと
→「自由な働き方じゃん」
選べなかった感覚が、
いつのまにか選ばなかったことにすり替えられていく。
このねじれは、かなり静かで、かなり厄介だ。
氷河期でも、Z世代でもない「はざま」
最近、X(旧Twitter)で
氷河期世代のお姉さんたちが
労働や生活の話を語っているのを見る。
怒りもあるし、後悔もある。
それでも「黙ってきた時間」を言葉にする姿に、
私は純粋に嬉しさを感じている。
それは対立じゃない。
たぶん、
私たちは同じ構造の中にいた
ただ、落ちた場所が違っただけ
という感覚に、
やっと光が当たり始めているからだ。
氷河期世代は入口で梯子を外された。
私たちは、梯子はあると言われながら
途中で折れる場所を踏まされた。
「個人の問題」に回収されてきた世代
この世代の特徴は、
不利さがとても個人化されやすかったことだと思う。
- 正社員になれなかった → 努力不足
- キャリアが途切れた → 自己管理の失敗
- 生活が不安定 → 選択ミス
構造や制度の話になる前に、
反省の話にされて終わる。
だからこそ、
勅使川原真衣さんのように
「個人ではなく構造を見る視点」が、
今になって強く響く。
能力や意欲の問題にする前に、
「そう振る舞わざるを得ない前提」を
ちゃんと見たい。
最近、勅使川原真衣さんの新刊
『組織の違和感――結局、リーダーは何を変えればいいのか?』
を読み進めている。
まだ途中だけれど、読みながら何度も「これ、まさに今の自分の感覚だな」と立ち止まってしまう。
この本で語られているのは、
「現場がうまく回らないのは、個人の能力や姿勢の問題ではない」
という、とてもまっとうで、でも現場では見落とされがちな視点だ。
・なぜ同じ人に仕事が偏るのか
・なぜ“気づく人”だけが消耗していくのか
・なぜ善意がすれ違いに変わってしまうのか
それは誰かの努力不足ではなく、
組織の構造や、リーダーの関わり方の問題であることが多い
と、勅使川原さんは丁寧に言語化している。
🌱 今の自分と重なるところ
小さな組織にいる今の私にとって、この本はすごく現実的だ。
「もっとこうしたら良くなるのに」
「でも、言い方を間違えたら面倒な人だと思われるかも」
そんなふうに迷いながら働く感覚は、きっと私だけじゃない。
だからこそ私は、
“変えてもらう側”として文句を言うよりも、
“関わり方を工夫する側”でいたいと思っている。
もちろん全部を背負う気はない。
でも、ちゃんと人を見てくれる会社、対話しようとしてくれる組織には、
自分にできる範囲で貢献したい。
この本を読みながら、
「組織をよくするって、声を荒げることじゃないんだな」
と、少し肩の力が抜けた気がしている。
加えて、勅使川原真衣さんご自身が『組織の違和感』のエッセンスを語っている YouTube動画 もある。
それを観ると、本の内容がさらに腑に落ちやすくなるし、考え方の感覚がつかみやすいと思う。
📌 ポイントとして押さえたいのはこんなところ:
- “能力主義ではなく関係性で組織を見る” という視点を言語化している
- 本の骨格となる考え(構造を見る、ジャッジしない、状態として見る)を映像で追える
- 音声と表情が入ることで、言葉のニュアンスや問いの立て方がより伝わる
👇こちらの動画では、まさに本の要点が丁寧に話されているので、読む前でも読みながらでもおすすめだ:
(※動画の内容は、著作の本質をつかむための補助としてとてもわかりやすいので、時間があるときに観るとさらに理解が深まります。)
私が書きたいのは、正解じゃない
このブログでやりたいのは、
- 誰が悪いかを決めることでも
- 世代間で優劣をつけることでもない。
ただ、
働く現場を知ってしまった女性が、
自分を責めずに状況を理解するための言葉
を、置いておきたい。
氷河期でもない。
でも、楽な世代でもなかった。
2013年卒という、
「回復したことになっている時代」に
社会に出た一人として。
最後に
声をあげる世代が増えている今、
この話題に触れられること自体が、私は嬉しい。
黙って耐えるしかなかった違和感が、
やっと共有できるものになりつつある気がするから。
あなたは、どの世代だろう。
そして、
その世代で「当たり前」にされてきたことは何だろう。
正解は出さなくていい。
でも、名前をつけることはできる。
たぶん、そこからしか
次の選択肢は見えてこない。














