映画『ファーストボイス』を観てきました。
1989年に提訴された「福岡セクシュアル・ハラスメント裁判」に着想を得た、声を上げた女性たちの物語です。
裁判やハラスメントを扱う映画ですが、堅苦しい感じに作られていなくて、テンポもよく、楽しみながら観られました。こうしたテーマが、映画として入り込みやすい形で描かれているのはいいなと思います。
女性陣のファッションと、男性陣の眼鏡
物語とともに楽しめたのが、登場人物たちのファッション。
ファーストサマーウイカさんをはじめ、女性陣の服装がよかった! 平成初期のファッションって、今あらためて見ると素敵ですね。登場人物たちの装いにも、ついつい目がいきました。
男性陣の眼鏡にも、こだわりを感じました。
「ああ、うちのお父さんもああいう形の眼鏡をかけていたわ〜」
と思わず懐かしくなりました。大江千里さん的めがねです。
服だけでなく、眼鏡の形にも時代が表れるんですね。
そんな小さなところから、自分の家族の記憶につながっていくのも面白かったです。
舞台となる1989年は、平成が始まった年。私にとっては、平成初期のファッション回顧録としても楽しい映画でした。
綾瀬はるかさんが強くて優しくてチャーミングな大人の弁護士さんを演じられているのもよかったです。
求めていたのは、対等に働けること
しんぶん赤旗日曜版の2026年10月4日号にも、この映画の背景となった裁判についての記事が掲載されていました。
原告代理人を務めた辻本育子さん、原田直子さんと、映画プロデューサーの坂野かおりさんの対談です。
読んで印象に残ったのは、当時の女性に求められていた働き方についてのお話でした。
仕事はきちんとする。
でも、評価を求めたり、男性の立場を脅かしたりしてはいけない。
男性を下支えする役割を期待され、その枠からはみ出すと攻撃される。
対談では、原告の女性が仕事で評価されるようになる一方、上司から性的な悪評を広められた経緯が語られています。
一生懸命に働き、能力を発揮したことが、かえって攻撃されるきっかけになってしまう。その理不尽さを思うと、胸が苦しくなります。
求めていたのは特別扱いではなく、対等に働くこと。自分の仕事を、不当におとしめられずに続けることだったのだと、あらためて感じました。
声を上げた人と、その声を支えた人たち
この裁判を支えたのは、原告と弁護士だけではなかったそうです。
支援の会がつくられ、全国に広がり、裁判所の傍聴席はいつもいっぱいだったといいます。弁護士の子どもを近所の人が預かるなど、暮らしの面での支えもありました。
法廷でたたかう人がいて、傍聴に行く人がいて、その人たちが活動できるように日常を支える人がいる。
社会を変える取り組みは、そうした多くの人の力で成り立っているのですね。
声を上げるには勇気がいるし、その後も仕事や生活は続いていく。だからこそ、声を上げた人を孤立させないことが大切なのだと思いました。
懐かしい装いの向こうにあるもの
映画の中の服装や眼鏡には、懐かしさや楽しさを感じました。
でも、その時代に女性たちが置かれていた状況まで、懐かしい思い出にしてしまうことはできません。
今、私たちが不当な扱いに対して「それはおかしい」と言葉にできる背景には、先に声を上げ、たたかってきた人たちがいる。今も残る問題を考えるうえでも、その歩みを知ることには意味があると思います。
『ファーストボイス』は、平成初期の装いを楽しみながら、そこで生き、働き、声を上げた女性たちのことも知ることができる映画でした。
堅苦しくなく、テンポよく観られるからこそ、この物語がいろいろな人に届いたらいいなと思います。
主題歌はちゃんみなさんだというのも、時代を変えていく兆しが見えていいなと思います。
ちゃんみなさんがプロデュースしているHANAのメンバーのMOMOKAがお芝居の勉強をしているとのことで、ファーストボイスのような社会を変えていく勇気を与えてくれる作品に出演してくれたら嬉しいなとふんわりHONEYsな私は思います。
参考記事:
しんぶん赤旗日曜版・2026年10月4日号「映画『ファーストボイス』――求めたのは“対等に働けること”」













