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犬の遺伝子を編集し、軍事任務に適した能力を持たせる。

そんな事業の報道を読んで、強い怒りを感じた。

犬を、動物を、兵器にするな。

人間が始める戦争のために、動物の体や生まれ方まで都合よく変えようとする。その発想を、私は受け入れられない。

そして、この話は遠い国の出来事では済まない。事業に技術を提供する軍需企業アンドゥリルは、日産の追浜工場の取得に向けて協議しているとも報じられている。

動物の命と、働く人の生活。どちらも、人間の軍事的な都合に組み込んでよいものなのか。

「犬を守る」という説明で、軍事利用は正当化できない

米企業Warhoundは、遺伝子技術やクローン技術を使い、軍や警察、緊急対応向けの作業犬を供給する構想を発表した。事業の構想にはアンドゥリル創業者のパルマー・ラッキーらが関わり、アンドゥリルは提携を通じて装備やソフトウェアを提供するという。

ここは正確に分けておきたい。Warhoundとアンドゥリルは別会社であり、追浜工場で軍用犬を開発するという話ではない。

Warhound側は、犬の健康や安全性を高めることを掲げている。動物福祉団体の指導や、退役後の生活への支援も説明している。

犬の病気や苦痛を減らすこと自体は大切だ。しかし、それを軍事任務に適した犬の供給と一体にして進めることには、強い疑問がある。

危険な任務に就かせるために能力を高め、防護装備を与える。それで、その任務に動物を投入することまで正当化されるのだろうか。

犬には、軍に入るかどうかを判断する機会がない。任務の意味や危険性を理解し、条件を交渉することもできない。

その命を預かる人間が、軍事上の必要性を優先してよいのか。

私は、犬を殺傷能力のある装置そのものだと断定しているのではない。犬の身体や能力を、軍事目的に合わせて設計し、利用することに反対している。

追浜工場は、まだ「軍需工場になると決まった」わけではない

日産は、追浜工場での車両生産を2027年度末に終了し、九州の工場へ移管・統合すると発表している。追浜地区の研究施設や専用ふ頭などは、事業を継続する方針だ。

つまり、すでに日産が追浜から全面撤退したわけではない。

一方、2026年6月のロイター報道では、アンドゥリルが追浜工場の取得に向けて協議し、軍事用ドローンの生産拠点への転換を考えているとされた。従業員の多くを製造要員として採用する意向も、関係者の話として伝えられている。ただし、その報道では売却先に複数の候補があり、日産も未決定と説明している。

確認した資料では、取得が正式決定したとは言えない。

だからこそ、決まる前に反対の意思を示したい。軍需生産への転換を、地域の未来として当然のように受け入れたくない。

働く人の不安に、軍需産業を差し出すことへの怒り

工場の生産終了は、働く人にとって生活の土台が揺らぐ出来事だと思う。

転居できるのか。家族の生活はどうなるのか。地域に残って働けるのか。取引先や周辺の商店に、どんな影響があるのか。

「次の雇用がある」と言われれば、安心する人がいて当然だ。

その状況で軍需企業への就職を選ぶ人を、私は責められない。生活を守ろうとする労働者に、産業政策の責任まで背負わせるべきではない。

私が批判したいのは、雇用の不安を抱える地域に、軍需産業への転換が解決策として差し出されることだ。

生活のために働くことと、軍事利用に賛成することは同じではない。

それなのに、家計がその企業に支えられ、地元企業が取引を始め、地域経済まで依存するようになれば、反対意見を口にする負担は大きくなるだろう。

「反対したら、仕事はどうなるのか」
「地域の雇用を壊すつもりなのか」

そんな問いを向けられる状況になれば、住民の議論は自由でいられるだろうか。

利害関係者になった途端、批判しにくくなる構造

企業や政府が、住民を黙らせる目的で雇用をつくろうとしていると断定できる証拠はない。

ただ、意図がどうであれ、雇用や取引を通じて地域が軍需産業に依存すれば、批判することが自分や身近な人の暮らしを脅かしかねない構造は生まれうる。

私は、そこを問題にしたい。

仕事や収入を必要とする人を利害関係者に組み込み、その後で「地域の理解がある」と言える状況になってしまう。その危うさを、雇用創出という言葉で覆い隠してほしくない。

生活の不安が大きいほど、提示された選択肢を断ることは難しい。

だからこそ行政には、軍需産業への依存を深めずに地域で働き続けられる道を、真剣に探してほしい。民生分野の企業誘致、事業転換への支援、所得や再就職への支援。何が可能なのか、比較できる情報と選択肢を示してほしい。

働く人の暮らしを守る責任を、「軍需企業を受け入れるかどうか」という二択に押し込めてはならない。

動物の命も、地域の暮らしも、軍事の都合に従わせない

日本共産党神奈川県委員会と県議団は、追浜工場をアンドゥリルへ売却しないよう働きかけることを求め、県に要望書を提出している。

この問題を、企業同士の売買だけで終わらせてほしくない。

何をつくるのか。どこで使われるのか。働く人の意思はどう尊重されるのか。住民は、どの段階で情報を知り、意見を届けられるのか。

雇用が生まれるという説明だけで、こうした問いを脇に置いてよいはずがない。

私は、動物を軍事利用しなくて済む方向に技術を使ってほしい。働く人が、生活のために自分の疑問や良心を押し殺さずに済む産業政策を求めたい。

犬を、動物を、兵器にするな。

雇用を盾に、地域を軍需産業へ組み込むな。

この怒りを「感情的だ」の一言で片づけられたくない。誰の安全のために、誰が危険を引き受けるのか。誰の利益のために、誰が声を上げにくくなるのか。

そこを問い続けることも、地域で暮らす私たちの権利だと思う。

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