最近、「SNS農場(クリックファーム)」という言葉を耳にする機会が増えました。
お金を払って「いいね」や表示回数、フォロワーを増やすサービス。
一見するとマーケティングの話のようですが、もしこれが政治の世界にも入り込むとしたら、私たちは何を信じればいいのでしょうか。
この記事の目次
数字は、本当に民意なのか
SNSを開くと、
「○万いいね」
「○千万回再生」
「急上昇」
そんな数字が目に飛び込んできます。
人は数字を見ると、「これだけ支持されているなら正しいのかもしれない」と感じやすくなります。
心理学では「社会的証明」と呼ばれる現象です。
しかし、その数字の一部がお金で作れるとしたら。
私たちが見ている「世論」は、本当に自然に生まれたものなのでしょうか。
あるいは、「世論のように見せる技術」が進歩しているだけなのでしょうか。
この問いは、これからの民主主義にとって、とても重要だと思います。
アルゴリズムは怒りを好む
SNSは、多くの人に見てもらう仕組みです。
そして残念ながら、その仕組みは冷静な議論よりも、怒りや対立、強い言葉のほうが拡散しやすい傾向があります。
「敵を作る」
「相手を叩く」
「切り抜きで煽る」
こうした投稿は、人の感情を刺激するため、多くの反応を集めやすいのです。
もちろん、SNSは便利な道具です。
私自身も情報を得たり、自分の考えを発信したりしています。
でも、「たくさん見られていること」と「内容が正しいこと」は、決して同じではありません。
今回の選挙で感じたこと
そんな中で、今回の杉並区長選挙の開票後の記者会見を見ました。
岸本さとこ区長は、
- 自分が果たす責任を、自分で決めて背負うこと
- 意見が違う人とも対話していくこと
- 誹謗中傷をしないこと
を語っていました。
また、
「対話は、よりよく決めるための当たり前の民主主義の土台」
という言葉も印象的でした。
私はこの言葉を聞いて、「民主主義って、本来こういうものだったよな」と改めて思いました。
民主主義は、相手を倒すゲームではない
政治の世界では、「勝った」「負けた」という結果に目が向きがちです。
でも民主主義は、本来、勝者がすべてを手に入れる仕組みではありません。
意見が違う人がいても、お互いを排除せず、話し合いながら社会を前に進めていく。
そのための仕組みです。
だからこそ、選挙が終わった後こそ大切なのだと思います。
支持した人も、支持しなかった人も、同じ地域で暮らし、同じ社会をつくっていくのですから。
数字よりも、対話を信じたい
私はSNSそのものを否定したいわけではありません。
便利ですし、多くの人の声を届ける力があります。
しかし同時に、数字だけで世の中を判断する怖さも感じています。
表示回数。
フォロワー数。
いいね。
トレンド。
これらは参考にはなりますが、それだけで「民意」を測ることはできません。
実際の選挙では、一人ひとりが投票所へ足を運び、自分の意思を一票に込めます。
その一票は、「いいね」では買えません。
おわりに
最近、「SNSが民主主義を壊す」という言葉を目にすることがあります。
確かに、SNSには世論を操作しようとする動きや、過激な言葉が拡散されやすい構造があります。
だからこそ、私たちは数字だけで判断せず、自分で考え、情報を確かめ、対話を続ける姿勢を大切にしたい。
民主主義は、アルゴリズムではなく、人と人との対話によって育まれるものです。
今回の選挙を見て、私は少しだけ希望を感じました。
SNSの数字がすべてではない。
誹謗中傷ではなく、責任ある言葉。
分断ではなく、対話。
そうした価値を大切にする人たちが、まだこの社会にはたくさんいる。
だから私は、「SNS農場に、民主主義は負けなかった。」と感じたのです。
でも本当に油断しているとあっという間に「農場」のようなシステムに民主主義が揺らがされてしまうんですね。
SNS広告の規制も早く整備されてほしいとも思うけど、どれだけ市民が一人に一人分の力を持っていて、政治や社会に参加する、権力を監視するって意識を持たないとボロボロにされてしまうのだなと思いました。
不断の努力が必要、とはこういうことなんでしょうね。
私たちの暮らしているところから、民主主義を取り戻せますように。













