──リゾートバイト経験者が、いま改めて構造を考えてみた
私は以前、リゾートバイトでホテルの仕事を派遣社員として働いていた。
繁忙期だけ全国から人が集まり、シーズンが終われば一斉に解散する。
あの現場は、「派遣」という仕組みを、かなり分かりやすく体感できる場所だったと思う。
そして今。
事務職やバックオフィス系の求人を見ていると、
派遣での募集がとにかく多い。
正社員ではなく、派遣。
紹介予定派遣、期間限定派遣、更新前提の派遣。
——なぜ、ここまで企業は派遣社員を使うのだろうか。
この記事の目次
結論|派遣が増えている理由は「人」ではなく「リスク」
先に結論を書いてしまうと、
企業が派遣社員を使う理由は
能力の問題ではなく
リスクと責任をどう処理したいかの問題だ。
① 企業は「人」を雇いたいのではなく「役割」を買いたい
企業が本当に必要としているのは、
- この業務を
- この期間だけ
- 滞りなく回してくれる人
であって、
その人の人生や将来まで引き受ける覚悟ではない。
リゾートバイトのホテルが典型だ。
- 繁忙期だけ人が必要
- 閑散期には一気に人が余る
- 通年雇用には向かない
こうした状況では、
派遣という仕組みが合理的になる。
② 正社員は「固定費」、派遣は「変動費」
会計上の扱いも大きく違う。
- 正社員の給与 → 固定費
- 派遣社員の費用 → 外注費(変動費)
固定費は、企業にとって最も重たい。
- 売上が下がっても払う
- 景気が悪くなっても削りにくい
- 一度雇うと簡単に手放せない
一方、派遣は
必要なときに
必要な分だけ
コストとして処理できる
多少時給が高く見えても、
企業にとってはリスクが小さい。
③ 派遣は「責任ごと外に出せる」
派遣を使うことで、企業は
- 採用ミスの責任
- 労務管理
- 社会保険の手続き
- トラブル時の対応
これらを、派遣会社に委ねられる。
企業からすると、
人を雇っているというより
機能を借りている
感覚に近い。
④ 事務職で派遣が多い理由
特に事務職は、
- 業務が定型化しやすい
- 引き継ぎが比較的簡単
- 人が変わっても業務が止まりにくい
だから企業は、
正社員で抱えるほどではない
でも誰かはいないと困る
ポジションに、派遣を当てはめやすい。
⑤ 派遣会社の「ピンハネ率」という現実
ここで避けて通れないのが、
派遣会社のピンハネ率の話だ。
例えば、企業が派遣会社に
時給2,200円を支払っている場合。
派遣社員本人の時給は
1,500〜1,700円程度になることが多い。
差額の**500〜700円(約25〜35%)**が、
いわゆる「ピンハネ」と呼ばれる部分。
この差額は何に使われているのか
この中には、以下が含まれている。
- 社会保険(健康保険・厚生年金の会社負担分)
- 雇用保険・労災保険
- 有給休暇の原資
- 派遣社員の募集・採用コスト
- 営業・契約管理の人件費
- トラブル対応・契約調整のリスク
- 派遣会社の利益
派遣会社は、
人を送っているのではなく
「雇用リスク一式」を請け負っている
とも言える。
それでも「取られすぎ」と感じる理由
一方で、
- 業務内容が単純
- 派遣会社のフォローがほぼない
- 現場任せで回っている
こうしたケースでは、
何もしていないのに
25〜35%取られている
と感じやすい。
特に事務職では、
この違和感が生まれやすい。
⑥ それでも企業が派遣を使い続ける理由
それでも企業が派遣をやめないのは、
- 社会保険・労務管理を外に出せる
- 採用ミスの責任を負わなくていい
- 契約終了で関係を切れる
という安心料を買っているから。
企業にとっては、
派遣会社に払っているのは
人件費ではなく
「面倒を引き受けてもらう費用」
という感覚に近い。
生存戦略として考えるなら
派遣が増えているのは、
働く人が弱くなったから
ではない。
企業が「責任を軽くしたい時代」になったからだ。
だから大事なのは、
- 自分はいま
固定費として抱えられているのか - それとも
機能として使われているのか
を理解すること。
おわりに|知らないまま使われないために
派遣という仕組みは、
悪でも正義でもない。
ただ、
構造を知らない側が
一番、損をする
派遣会社のピンハネ率も、
企業の都合も、
すべては仕組みの話だ。
その上で、
どこに立つのかを自分で選ぶ。
それが、
生存戦略秘密基地が伝えたいこと。














