求人を見ていると、いつも引っかかる。
派遣の事務職は時給1,600円、1,800円。
一方、直雇用の契約社員や正社員は、月給換算すると時給1,200円台。
仕事内容はそこまで変わらない。
むしろ直雇用のほうが「雑用」「責任」「空気を読む仕事」が多かったりもする。
それなのに、なぜ派遣は高く、直雇用は安く見えるのか。
この違和感は、個人の能力差の問題ではない。
お金の置かれ方が違うだけだ。
この記事の目次
派遣は「人件費」ではなく「外注費」になりやすい
まず一番大きい違い。
派遣社員に支払われるお金は、
企業の会計上「人件費」ではなく 外注費 として処理されることが多い。
直雇用の社員は「人」。
派遣は「サービス」。
この違いは、数字の扱われ方を大きく変える。
- 人件費:固定費、増やすとPLが重くなる
- 外注費:変動費、必要なときに使えて切りやすい
企業からすると、
外注費は高くても「痛くないお金」 になりやすい。
だから
「時給1,800円?高いな…」ではなく
「必要な期間だけ使えるなら妥当か」
という判断になる。
社会保険・福利厚生・解雇リスクは誰が背負っているか
直雇用の社員を1人雇うと、企業はこういうものを背負う。
- 社会保険料(会社負担分)
- 有給休暇
- 産休・育休対応
- 解雇できないリスク
- 評価・配置・育成コスト
一方、派遣社員の場合。
これらは派遣会社側が引き受けている。
企業側から見ると
「働いてもらっているけど、面倒な責任は外に出している」状態。
つまり、
派遣の高時給は「厚遇」ではなく
リスクを外注している分の対価でもある。
企業が「高く払っているつもり」になれるカラクリ
ここが一番ややこしい。
企業は派遣会社に
「時給2,500円」とか「月40万円」とか払っている。
だから感覚としては
「結構払ってるよね?」になる。
でも、働く本人に届くのは
時給1,600円、1,700円。
この差額はどこへ行くのか。
派遣会社のマージン(ピンハネ)問題
差額は、派遣会社のマージンになる。
- 社会保険料
- 営業コスト
- 管理部門
- 利益
全部込みとはいえ、
マージン率は2〜4割になることも珍しくない。
企業からすると
「ちゃんと払ってる」
派遣会社からすると
「必要経費」
でも、働く側から見ると
自分の労働の価値がどこかで削られている感覚になる。
ここにモヤっとする人は多い。
見えにくいのは「コストが消えた」のではなく「移動した」だけ
大事なのはここ。
派遣が高時給に見えるのは、
直雇用が安いのは、
どちらかが得しているからではない。
- 直雇用:コストを企業が内部で抱えている
- 派遣:コストを派遣会社と労働者側に外出ししている
コストが消えたわけではない。場所が変わっただけ。
「派遣=得」「正社員=損」と単純化しない
派遣は自由度が高い。
切られやすいけど、逃げやすい。
正社員は安定している。
守られているけど、縛られやすい。
どちらが正解かは、人によって違う。
ライフステージ、体力、目指す働き方で変わる。
大事なのは
「どこでコストを払っているのか」を自分で理解して選ぶこと。
高時給に見える数字の裏で
何を引き受けていて、
何を失っているのか。
そこまで見た上で選ぶなら、
派遣も、直雇用も、戦略になる。













