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近年、「人権デューデリジェンス(人権DD)」という言葉を耳にする機会が増えました。

しかし、この言葉を聞くと、

「どこかの悪い企業を告発する活動なのでは?」

と思う人もいるかもしれません。

私はそうではないと思っています。

人権デューデリジェンスとは、企業の名前を挙げて糾弾することではなく、

自社の技術、資金、部品、サービス、取引が、知らないうちに人権侵害や戦争を支える回路になっていないかを調べ、予防し、改善する仕組みです。

この記事の目次

現代の人権侵害は「一社だけ」で起きない

例えば戦争を考えてみましょう。

戦争は兵器メーカーだけで成り立っているわけではありません。

半導体メーカー。

AI開発企業。

クラウドサービス企業。

通信会社。

金融機関。

物流企業。

建設会社。

無数の企業活動が複雑につながりながら、一つの巨大なシステムを形作っています。

だからこそ、

「誰が引き金を引いたのか」

だけではなく、

「誰がその仕組みを支えていたのか」

も問われる時代になりました。

企業は、自社工場だけではなく、サプライチェーンや取引先を含めて人権リスクを確認することが求められています。

人権デューデリジェンスとは何をするのか

人権デューデリジェンスの基本はシンプルです。

  1. 人権侵害のリスクを調べる
  2. 防止策を講じる
  3. 被害が起きた場合は是正する
  4. 取り組みを公表する

という流れです。

対象となるのは、

  • 強制労働
  • 児童労働
  • ハラスメント
  • 差別
  • 外国人労働者の搾取
  • 紛争地域への加担
  • 監視技術の不適切利用

など幅広い問題です。

日本はまだ「お願いベース」

日本政府も2022年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定しました。

これは大きな前進です。

ただし、このガイドラインには法的拘束力がありません。

企業に対して、

「人権デューデリジェンスを実施してください」

と求めてはいますが、基本的には努力義務です。

つまり、

やる企業もあれば、

やらない企業もある。

そこに大きな差が生まれています。

世界は法制化へ進んでいる

一方で、欧州を中心に各国では法制化が進んでいます。

人権侵害のリスク調査や情報公開を企業に義務づける流れです。

背景にあるのは、

「善意だけでは限界がある」

という認識でしょう。

どれだけ理念が立派でも、競争環境の中ではコスト削減圧力が働きます。

だからこそ、

ルールとして最低限の責任を求める必要がある。

これは環境規制や労働安全規制と同じ発想です。

日本にも法令化が必要ではないか

私は、人権デューデリジェンスは一部の大企業だけの問題ではないと思っています。

技術者も。

部品メーカーも。

物流会社も。

金融機関も。

そして私たち消費者も。

誰もが巨大なサプライチェーンの一部だからです。

人権侵害が起きてから責任を追及するのではなく、

起きる前にリスクを把握し、防ぐ。

それが人権デューデリジェンスの本質です。

企業名を挙げて終わる話ではありません。

日本企業の技術、資金、部品、サービス、取引が、人権侵害や戦争を支える回路になっていないかを確認する。

その仕組みを社会全体で作るために、日本でも人権デューデリジェンスの法制化を真剣に議論する時期に来ているのではないでしょうか。

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