
18歳の私より、今の私の方が理解できる
大人の勉強が少し面白い理由
私、18歳や19歳の頃より、
今の方がずっと物事を理解しやすくなっている気がする。
頭が良くなったのだろうか。
それとも、昔はバカだったのかなと思うほどだ。
Xを見ていても、同じようなことを言っている人を見かける。
「大人になってからの方が勉強が理解できる」と。
どうしてだろう。
私が鍼灸の専門学校に通っていたとき、
最初に学ぶのは解剖学や生理学だった。
筋肉の名前。
神経の走行。
臓器の働き。
ホルモンの仕組み。
とにかく覚えることが多い。
もちろん大事な基礎なのだけれど、
この段階では知識はまだバラバラで、
正直なところ「覚える勉強」という感じだった。
ところが臨床の授業に入ったとき、
急に景色が変わる。
例えば
- 自律神経の仕組み
- ホルモンのフィードバック
- 脳神経の支配
こうした話を学ぶと、
それまで覚えていた解剖や生理の知識が
一気につながる瞬間がある。
「ああ、だからこういう症状になるのか」
脳幹や視床の働き、
自律神経の調整、
ホルモンのフィードバック。
それまで点だった知識が、
一本の線になる。
この瞬間、勉強が急に面白くなる。
発達心理学には、
スキーマ(schema)という考え方がある。
これは、人が世界を理解するときに使う
知識の枠組みのことだ。
人は新しいことを学ぶとき、
完全にゼロから理解しているわけではない。
すでに持っている知識や経験を使って、
新しい情報を理解している。
この考え方を説明した心理学者に
ジャン・ピアジェ
がいる。
ピアジェは、人が学ぶときには
- 同化(すでにある枠組みで理解すること)
- 調節(枠組みそのものを書き換えること)
という二つの働きが起きると考えた。
つまり学びとは、
知識の枠組みを増やし、
それを更新し、
そして互いに結びつけていくプロセスでもある。
ここで大きな役割を果たすのが
経験なのだと思う。
心理学や教育学では、
経験を重ねることで理解が深まることを
「経験による理解の深化」と説明することがある。
人生の中で
- 体調を崩したこと
- ストレスを感じたこと
- 仕事で疲れたこと
- 人間関係に悩んだこと
そうした経験があるからこそ、
自律神経やホルモンの話を聞いたときに
「そういうことだったのか」
と実感を伴って理解できる。
知識だけではなく、
経験が理解を支える土台になる。
もしかすると
大人になってからの勉強が面白いのは、
この経験が増えているからなのかもしれない。
人生を生きていると、
- 仕事
- 人間関係
- 社会
- 身体
さまざまなことを体験する。
その一つ一つが、
理解のための枠組みになっていく。
だから新しい知識が、
どこかに引っかかる。
そして、つながる。
若い頃より、
今の方が理解できることが増えた。
頭が良くなったわけではない。
ただ、世界を理解するための
スキーマが増えてきただけなのだと思う。
そう考えると、
勉強は学生だけのものではないのかもしれない。
むしろ大人になってからの学びの方が、
ずっと面白い。
そしてもしそうなら、
知識や経験を重ねて
自分のスキーマを豊かにしていくことは、
人生を少し豊かにする方法の
ひとつなのかもしれない。














