性犯罪をテーマにした短編アニメーション『Non』を見ました。
地下鉄で、ひとりの女性が、小さな男の子に近づく影に気づく。その光景をきっかけに、彼女は自分が同じくらいの年齢だったころに受けた性被害を思い出します。
※子どもへの性暴力を扱う作品です。見ることがつらい方は、無理をせずに。
子どもに気をつけさせるだけでいいのか
この動画を見て、私は「性犯罪を止めるために、大人が立ち上がらなきゃいけないよね」と思いました。
子どもに「知らない人についていかない」「嫌なことをされたら断る」と教えることは大切です。でも、それだけで子どもを守れるのでしょうか。
相手が何をしようとしているのか分からないこともある。怖くて声を出せないこともある。相手が知っている大人なら、なおさら拒むことが難しいかもしれない。
そこで「どうして逃げなかったの」「どうして言わなかったの」と、子どもに責任を戻してしまいたくありません。
自分の身を守る方法を教えることと、子ども自身に身を守る責任を背負わせることは、違うと思います。
「誰かが止めてくれる」を現実にする
目の前の子どもと、自分の幼いころの記憶が重なる。その設定が、心に残りました。
かつて自分が置かれた状況に、別の子どもが置かれているかもしれない。そのとき、大人になった自分にできることは何か。
ただ、この役割を、被害を経験した人だけに背負わせたくはありません。つらい記憶を抱えた人が、さらに誰かを守る責任まで引き受けなければならない、という話にはしたくない。
被害の経験があるかどうかにかかわらず、周囲にいる大人が動く必要があると思います。
気になる様子があれば声をかける。自分ひとりで対応するのが難しければ、駅員などに助けを求める。被害を打ち明けられたら、責めずに話を聞く。
「誰かが止めてくれる」「話したら助けてもらえる」を、ただの願いで終わらせないために。
大人同士の関係を守るために、被害の声を消さない
性犯罪を止めるために必要なのは、その場での行動だけではないと思います。
加害を疑われた相手が、身近な人だったら。
仕事のできる人、評判のいい人、立場のある人だったら。
「まさかあの人が」
「悪気はなかったんじゃないか」
「大ごとにすると、みんなが困る」
そうした言葉で、被害を訴える声を小さくしていないか。私たち大人は、自分たちの反応も問い直す必要があります。
学校でも職場でも、組織の体面や大人同士の関係を守るために、子どもや被害を受けた人に沈黙を求めることがあってはいけない。
大人が「守る」を行動で示す
私は、この動画を見てよかったと思いました。
性犯罪について考えるとき、被害を受ける側の注意や対処にばかり話が向かいがちです。でも、そもそも加害を止めること、周囲が見過ごさないことに、もっと目を向けたい。
子どもに「嫌だと言っていい」と伝えるなら、嫌だと言った子どもを守る大人でありたい。
「困ったら相談して」と伝えるなら、相談されたときに動く大人でありたい。
性犯罪を止めるために、大人が立ち上がらなきゃいけない。
それは特別に勇敢な誰かだけに任せていいことではなく、私自身も含めて、考え続けたいことです。
目の前で気になることが起きたとき、自分には何ができるだろうか。そんなことを考えながら、見てほしい作品です。
作品:『Non』
監督:Camille BARDAUD/Xiaoning LIU/Yanfeng NIU/Julie SIBILLE/Tianying ZHANG













