広谷鏡子さんの小説「湘南シェアハウス」は妙齢の女性たちがシェアハウスで暮らす話である。

小説家の夏都(51)
編集者で夏都の親友の紀代子(60)
女子大の准教授の真代(45)
ストレッチ講師のアリサ(30くらい)
夏都のファンで専業主婦の史子(75)

この5人がシェアハウスで共同生活をする。

シェアハウス生活に踏み切る理由がそれぞれあって
作中話が進むと抱えている問題にぶち当たりながら解決し乗り越えていく。

5人でシェアハウスの方向性やルールを決めるためにわいわい話しているところなんかもワクワクする。
生活を始めて違いの価値観のズレなんかも受け入れたり、意見を言って話し合いながら歩み寄っているのも素敵だ。

また、シェアハウスでの生活を始めてから同居人たち個人が抱えている問題と向き合い、それを他のメンバーが
うまく支えながらうまくやっていく姿もとても良いなと思えた。

なんというか、避難所とかシェルターみたいな形ではなく
個人の時間やスペースも確保された上で前向きに他者との関わりを楽しむようなものなのだ。
大きなリビングでみんなでご飯を食べたりお酒を飲んだり
お互いが特技を活かしてワークショップを開催したり。
近所の方も参加して人が集まれるようにしても楽しい。

シングル女性の老後って?
老人ホームに入るための資金をせっせと貯めて過ごす?
ほどよい距離感で他人と暮らしてゆるく助け合える空間があってもいいのかもしれない。

この本を読んでなんとなく田舎で庭付きボロ戸建てを買ってリノベしてのんびり暮らそうと考えていたけど
シェアハウスにして気の合う人と暮らすのも楽しそうだな〜と思えたのでした。

庭で野菜や果物を育てて、収穫したものでご飯をつくったり
居間で飲み会をしたり
楽しいことを企画してみんなで遊んでみたり
その家の周辺で雇用を生み出せるようなこともしてみたい

そんな女性たちがのびのび自由に暮らす王国をつくりたいなぁ。

夢はふくらむばかりです。

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