鳥トマトさんが描いたpixivに掲載された漫画「アッコちゃんは世界」を読みました。
ツイッターのスレッドにも投稿されているのでぜひ読んでみてください。

WEB漫画アッコちゃんは世界一 いじわるな世界に負けないで|PIXIV

地方、おそらく方言的に九州の話。
同級生の仲の良い女の子に想いを寄せていた主人公。
女の子が女の子を好きになるなんて、言い出せない空気。
好きと伝えるくらいなら、仲の良い友達でいれば良いと思っていた。

だが日本社会は二人に女であることを押し付けてくる。
親友の可愛くて魅力的なあっこちゃんは先輩から好意を持たれて「お付き合い」を始めたり
酒を飲まされてした初めてのセックスはクソとしか思えなかったとか
父があっこちゃんは地元に居て家業を継げと言われたから地元で進学することにしたり
実家に兄が戻ってきたから約束が反故はんこにされ
「金持ちと結婚しろ」と親に強要される

結婚したと思ったら2世帯暮らしで義父の介護要員にされるわ義母の小言聞かなくちゃならないわ
子どもはワンオペで育児だわ旦那は使い物にならないわでひどい生活をすることに

あっこちゃんは、世の中の流れにしたがって生きたのに幸せになれなかった。

一方、主人公であるナスは高校卒業後は上京して進学・就職し社会に溶け込むように生きていた。
普通に社会人やって、あっこちゃんがセックスや結婚をして性役割を全うする女になっていくから自分もとセックスをして「クソだな」と思ったり、友人のような男性と結婚したり。
それでもずっとずっと心のどっかに大好きなあっこちゃんが居たのだ。

あっこちゃんからの
「実はそろそろ死のうと思ってるんよ」
「うちの人生は奪われてばっかりで」
「嫌になっちゃった
今までありがとうね」

というお別れのメッセージで気づいてナスが助けにいくのがとてもいいね。ロックだわ〜。

女は男と一緒になるべきとか凝り固まった価値観や世間体、周りの目、抑圧されても文句言えない社会の不条理とか、そんなのもうどうだっていい。
女であることを押し付けて親とか、男とか、蹴散らしてしまえばよかったんだ。

どうでもいい男どものために死なないで
生きて ずっと生きて
ずっとずっと私の世界一でいて

ナスのメッセージが心に響きます。
素晴らしい漫画でした。

降り注ぐ女の呪いのシャワー。何が呪いで足かせなのか。

地方の女の子というのは
地元に残る子と上京する子に分かれますね。

親や周りから地元から出してもらえない子もいます。
「地元愛が強い」というより、幼い頃から親に地元で生きるようにレールをしかれていたのだとも思う。

親が自分の手が届く範囲の場所に、コントロールしやすい場所に置きたいと思うのか分かりませんが
あっこちゃんも、最初は家業を継ぐために地元で進学するように言われ
お兄さんが帰ってきたら、お兄さんに家業を継がせることになったから
貧乏しないように、生活に困らないように金持ちの男と結婚するように促します。
あっこちゃんは親(特に父親)に鎖で繋がれていたのですね。

「穴」と「袋」として求められている女たち

女は穴と袋の役割を求められている、と言った田嶋陽子さんの言葉が浮かびます。
穴というの欲求を満たすもの、セックスとか。
袋は子どもを育てる母親としての役割ですね。
若いときは穴として求められ、結婚・出産適齢期〜子育ての期間は袋として扱われる。
ギョッとする例えかもしれないけど、本当にその通りだなと思います。

アッコちゃんも、自分の周りの人たちから穴と袋として役割を全うしろと強要されていますね。
父からは子孫を残すために財を持つ男と結婚し出産しなさいと。
大学でお酒を飲ませて無理やりセックスして既成事実をつくった先輩も、
結婚した相手の男性、そしてその義父母からも。

女に生まれたならそう生きるのが当たり前でしょ、って。


アッコちゃんは求められる理想に沿うように生きたけど、幸せにはなれませんでした。
もっとわがままに生きていいのに、
たとえ血のつながっている親であっても、自分の人生なのだから求められたものから背いていいのに。

自分の意志で行動することがこんなにも難しい。
自分の意志を持って「あなたの求めることには応えられません」と断ることがとても難しい。

自分を守るために相手を拒絶することが難しい。
相手は自分のためを思って言ってくれているのに、とか。

そういうの跳ね除けて
「それはあんたの押し付けであって私の幸せじゃないんだよ!」って言う強さはどうやって手に入れたらいいのだろうか。

まずは周りが押し付けてくる「思いやり」とラッピングされた相手のエゴ。
その本当の姿に気づくことなのかもしれない。
相手は本当は私のことを思っているのではなく私をコントロールしたい、監視下におきたいと思っている、とか。

あとは誰かに「あなたの思うように生きていいんだよ」「断っていいんだよ」「逃げていいんだよ」と言ってもらうことだと思う。
アッコちゃんにとってそれはナスだった。かなり遅くなったけど自由になれた。

背中を押してくれるのは人であったり、本だったりするんだと思う。

シスターフッドと女性同士の恋愛要素のある「アッコちゃんは世界一」。
ママ友同士の話の「消えたママ友」もいろんな立場の女性が抱えている苦しさを描いています。


「アッコちゃんは世界一」も「消えたママ友」も稀な不幸な個人のケースではなく
すごく私たちの社会に蔓延しきった呪いや足かせなのではないかと思う。

程度の違いはあれども、女性たちは崖上りをしていて、ギリギリのところで踏ん張っていて堪えきれなくてそこからガクンと足場が崩れて下に落ちていってしまう。
この崖って、日本社会のことだよな。
日本が作り上げてきたものだよな。

「女はこうあるべき」「母親はこうあるべき」って決めつけや
弱みを見せられない、SOSを出せないとか、、

空気のようにあまりに当たり前になってしまった世の中のルールにがちがちに縛られていて
自由を望むことすらできなくなってしまうのも分かる気がするんですよね。

どうやったら解放して、自由になっていけるかな。
そのためにはひとつひとつこの社会の女の子にかけられた呪いや足かせを明らかにしていく必要がある。
ぶん殴っていきたい。ぶっ壊していきたい。

そうすることが、今アッコちゃんだった人、かつてアッコちゃんだった人を救うことにつながるから。

「smash the patriarchy(家父長制をぶっつぶせ)」

かわいい雑貨を見つけてしまいました。

「smash the patriarchy(家父長制をぶっつぶせ)」 と書かれたキーホルダーです。かわいい。


"Women belong in the lab not kitchen(女性の居場所はキッチンじゃなくて研究室。)"
"I study rainbows(LGBTQコミュニティを学んでる)"
"drink, read,love(飲んで読んで愛して)"
"Smash the patriarchy"(家父長制をぶっ潰せ)"

doughnut|base
NOLADY SWEARS

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