ピンク色が私たちにもたらしてきたもの。

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堀越英美さん(@fmfm_nknk)の著書、『女の子はほんとうにピンクが好きなのか?』を読みました。

堀越さんが翻訳されたプログラミングで女子高生が世界を変える話、『ガール・コード』も面白かったので期待していました!

外国、そして日本での「ピンク色」の扱われ方について、ピンク色が社会や私たち女性にもたらしてきた影響について書かれています。

ピンク色の扱われ方のファッションの歴などを通して知ることができ、非常に面白いです。

この記事の目次

日本でのピンク色は「客体であれという期待」である

ピンク色が女性の色として扱われるようになったのは戦後、繊維技術の発展をともなってでした。
そう考えると、思ったよりも昔の話ではないんですね。

日本ではピンクはエロ、わいせつなもの、卑猥な色として扱われていますが他国では異なるのも初めてしりました。

各国のわいせつさを象徴する色
アメリカ:ブルー
中国:黄色
スペイン:緑
イタリア:赤

なたりー
ピンク色=エロ、わいせつなものという認識は日本独自のものなんですね。

ピンク色の扱われ方の変遷を知り、
そしてピンク色は日本では母性、エロ、幼さ、献身を表すものであると再認識しました。

日本におけるピンクは女の性役割を押し付けられる、「客体であれという期待」という言葉がしっくりきます。

客体化とはちょっと難しく感じるかもしれませんが「モノとしてみる」ということですね。
私という人間ではなく、性的な対象としての女というモノ。
母親のような献身やケアをしてくれるモノ
客体化とは

母親であれ、性的であれ、従順であれ、、、

私自身もピンク色を着るのが苦手でした。
か弱く、従順な女の子である象徴のピンク色をまとうことで女であることを強く求められていることを受け入れて、自分じゃないものを押し付けられて、負けてしまうような気持ちがしていました。

アニメ文化の「ピンク」

また、子ども向けテレビ・アニメ文化からのピンクの影響もあるそうです。
戦隊シリーズのモモレンジャーは紅一点のお色気担当で爆弾処理なども担当していましたね。
アニメだとミンキーモモ、クリィミーマミ、セーラームーン、プリキュア…

ピンクを象徴する魔法少女、萌えキャラ、、

華奢で可憐なアニメの少女たちはセーラームーンから「戦う女の子」に変わっていったと言います。
たしかにあどけなさ、幼さ、ふんわりとしたを感じからどんどん戦って苦難を乗り越えるキャラクターが増えたように思います。

私にとっての女の子アニメ
私は1990年生まれだったので時代的にはセーラームーンを観ていたんですが優しくて強くてかっこいいセーラージュピターのマコちゃんが好きでした〜。なつかし。。
今はバラエティ班のセーラーヴィーナスの美奈子ちゃんも好きです。
セーラー戦士たちはみんなひたむきで良いですよね。

魔法少女だとニチアサだと『おジャ魔女どれみ』とか。。
東堂いづみさん原作の『明日のナージャ』も今でも大好きですね。踊り子しながら旅をするナージャがとてもキラキラしてました。

あと種村有菜さんの『神風怪盗ジャンヌ』や『時空異邦人KYOKO』が大好きで読んでいたので、街の平和のために頑張る女の子や冒険する女の子に惹かれていました。

正義のために街の平和を守るとか、冒険するとか…
なんとなく今やっていることにも通じている部分があったりして、幼い頃大好きだった作品のキャラクターのように生きたいと思っているのかもしれません。
私が影響を受けたキャラクターたちは、戦うことも大事だけど自分の人生や幸せは受け身じゃなくて自分で探して見つけるんだよって教えてくれたように思います。

でも、私が触れてきた女の子向けアニメ・漫画にも「女の子ってこういうものだよね」という思い込みバイアスが散りばめられていて、無意識に私もそれをキャッチし自分の意識にインストールして行動している部分もあるのかもしれないですね。

女性の仕事としてみなされやすい「ピンクカラー」は賃金が低い

なたりー
職種をホワイトカラー、ブルーカラーという分け方があります。
仕事をするときのえりの色に見立ててつけられている名前だそうです。

ホワイトカラー
事務職、企画職、研修職。医師、コピーライター、プログラマなど屋内でするような仕事。

ブルーカラー
工場作業員、建設現場作業員、土木作業員などものづくり、肉体労働の仕事。

仕事にもよりますがホワイトカラーの仕事の方がブルーカラーの仕事よりも給与が高いと言われています。
ホワイトカラーとブルーカラーの違いは?給与や求められるものは?

そして女性の仕事としてみなされがちな職種全般は「ピンクカラー」と呼ばれるそうです。

サービス系  :花屋、パン屋など小売店の店員、ウェイトレス、キャビンアテンダント、バスガイドなど
ケアワーク系 :看護師、介護士、保育士、幼稚園教諭など
美容系    :美容師、ネイリスト、ヘアメイク、スタイリスト、アパレルなど
アシスタント系: 一般事務、受付、秘書、歯科衛生士など
語学系    :通訳、翻訳、英文経理など
人文系    :司書、心理職、編集者、校正者など

女の子は本当にピンクが好きなのか

まさにわたしもウェイトレスや一般事務などの職種で働いていましたので、まさにピンクカラーワーカーです。

経済学の観点から見ても、たくさんの人ができて、やりたがる仕事は賃金が低いそうです。

事務職や受付などは求人が多くあって未経験でも始めやすいが、年を取るにつれて徐々にその入り口は狭くなっていく。
「誰でもできる仕事なら若い女性の方がいい」として組織内のリフレッシュのためになんとなく居心地が悪くなったり追い出されたりして、再就職しようとしたらスーパーのレジ打ちの仕事や最低時給の仕事しか就くことができなくなるなど、、ピンクカラーの仕事の寿命は短い。

確かに初心者も歓迎される求人では
・簡単な仕事で誰でもできる
・若さ、素直さ、やる気がある
・コミュニケーション能力がある
・女であること(見目麗しい、もしくは他者に不快感を与えない小綺麗な)

というような特徴があります。
4番目はあまり口には出されないけど、どこの職場でも暗黙の了解の部分みたいなところがあります。

誰でもやることができ、替えがききやすい仕事というのは労働者として働ける期間が短命なように思います。

有資格者なのに賃金・低待遇な幼稚園教諭・保育士・介護士

そして幼稚園教諭、保育士、介護士のようなケアワークは資格が取りやすく、人手不足で就職もしやすいが、スキルが必要であるのに低賃金労働で人間関係がやりにくく、若いうちに離職する人も多いです。

私の友人も幼稚園教諭でしたが、子どもたちと接する部分よりも職場の人間関係の劣悪さや低賃金が理由で短大に通って資格をとったけれど現在は医療事務の仕事をしています。
また、熟年離婚をして働かなければならなくなり、専業主婦だった時期が長く年齢などの理由からご自身も高齢なのにハードな介護職に就いている女性もいます。

せっかく専門職の資格をとっても待遇が悪くてその仕事で働くことを諦めてしまったり、専業主婦であった時期がキャリアにマイナスな影響を与えて仕事の選択肢がないなど、こういうケースの話を聞くとなんだかもやもやしてしまう自分がいます。

人手不足なのに、賃金を上げずに「無資格者OK」と門戸を広げるだけの施政者。意地でも賃金を上げたくないんだね。

人手不足になろうとも、施政者は賃金を上げる代わりに、無資格者にも門戸を開くことで低賃金を維持しようとすることもしばしばだ。
このような低賃金でストレスフル、キャリアパスが見えづらい女性の仕事は、「ピンクカラー・ゲットー」とも呼ばれる。

女の子は本当にピンクが好きなのか

政府も経営者も従事者の待遇を上げればいいのに、賃金を上げないで無資格者でも働けるようにして低賃金を維持しようとする。

たしかに転職サイトで求人を眺めていると介護士の「未経験・資格なしOK!」というメッセージをよく見る。
介護職は資格なしでも働ける!無資格でもできること、できないこと

保育士も無資格でも相談可能とか、保育補助という範囲でも働けるところもあるようだ。
保育士の資格なしでも保育園で働ける、保育補助の仕事とは?

これらの職種が「女性のやる仕事=賃金が低く設定したままでOK」という考え方をなくし、賃金や待遇の向上を求めていかないと人手不足でなり手がいないまま、そして従事者が苦しい状態がずっと続いてしまいます。

私はホワイトカラー、ブルーカラー、ピンクカラーのお仕事をしていても、ちゃんと生活できる社会になってほしい。
もちろんプログラマーとか「食える仕事に就く」方向に舵をきるのも選択だと思うんです。
自分の子どもが将来食いっぱぐれないようになんとか稼げる仕事に就かせたいと思う気持ちも理解できる。

ピンクカラーに分類されるお仕事が好きで、誇りを持ってやっている人がいる。そういう人が報われる社会になってほしい。
全ての仕事が「普通に食っていける仕事」であるべきだと思う。
こういうことにも声をあげていきたいと思います。

女の子もSTEMに関心を持てるような環境をつくろう

本書で非常に面白いのは海外の女児向けSTEMステム玩具の紹介です。

STEMとは
S:Science(科学)

T:Technology(技術)

E:Engineering(工学)

M:Mathematics(数学)

それぞれの頭文字を取った言葉でSTEM、科学・技術・工学・数学の教育分野を総称した言葉です。
つまり理系分野のことですね。

日本でも顕著ですが、世界的に見ても女性の理系人材は少ないです。

「女性は数学が苦手」という思い込みが自分の実力よりも低い成績を出してしまうという心理学の実験結果でも出ています。
それほどまでに女性全体にかけられた社会のステレオタイプ、固定的な考え方やアンコンシャス・バイアス、いわば呪いが本当に女性個人個人の才能や自信を奪っていっているってことなんですよね。。

また、現在理系職種で働いている女性エンジニアが「女の子は小さい頃に科学的なことと触れ合う機会が少ないために興味関心が持てない。また、小さい頃にどれだけ理系分野への興味関心を持ち触れてきたかによってその後の学習の成績にも大きな差がでる」と話しています。

女の子は、おままごと、人形遊びといった「女の子らしい遊び」を社会・おもちゃ業界・大人から押し付けられがちです。
それ以外の遊びの選択肢を与えられていない。男の子ほどには遊びの世界が女の子のためには広く開かれていないとも思います。

女児向けのSTEM玩具が増えたり、女性のエンジニアや科学者などロールモデルがたくさんいることを知ることで理系分野を学ぶことへの意欲を促進させることができます。
「理系分野ってたのしい!」と思えるようなものが増えるといいですね。

女の子だって実験がしたい!女児向けSTEM玩具「Goldie Blox」


こちらは本書で紹介されていたゴールディーブロックス(Goldie Blox)というおもちゃメーカーのCM、Beastie Boysというバンドの『Girls』を替え歌で作成されたものです。

女の子3人がテレビの中のピンクの洋服でキラキラしたティアラ、ファーのついたステッキを手にしてきゃっきゃする少女たちを見てゲンナリ。

「はー、分かってないな。わたしこんなコッテコテの"ピンクな女の子"になりたいんじゃないよ」

そして工具をとりだし、ゴーグルをつけていざ実験!
ピタゴラスイッチにのような仕掛けで日常の世界を面白い実験現場に変えていきます。

最後には
TOYS for FUTURE ENGINEER(未来のエンジニアたちのためのおもちゃ)と出て

大実験を終えた女の子3人組がシャキーン!とポーズ。カッコいいじゃーん!

そう、女の子だからおままごとやお人形遊びが必ずしもしたいわけじゃない。

そして、可愛いものと科学や実験は組み合わせてさらにクールになる。
女の子には女の子のクールなやり方があんのさ!って感じが非常にいいですね。

私も小さいころにそんな遊びがあったらな。なんて思っちゃいますね。

Goldie Blox オフィシャルサイト
こちらがゴールディーブロックスの公式サイト。

女児向けSTEM玩具メーカーGoldie BloxのCodeAlongでインフルエンサーの女の子からプログラミングを学ぶ

おもちゃの商品もありますが、なかでも「Code Along」で女の子のインフルエンサーがプログラミングのハウツーを教えてくれるコーナーもあります。


youtubeの翻訳の字幕などもあるので、見よう見まねでやってみるのもいいかもしれません。
おしゃれな女の子がパソコンでプログラミングやっててめちゃカッコいい!となるかもしれませんね。

「ピンク」が私たちにもたらしてきた影響はすさまじいものです。
いろんなステレオタイプ、こうあってほしいという期待が混じったピンク。

それを受け入れたり、拒否したり、なんとかここまでやり過ごしてきた女性たち。
ピンク色の持つ脅威をどうやって呪いや足枷あしかせにしないでいけるだろうか。

そのためには私たちにかけられたピンクの大きな力やその原因についてよく分析し抵抗すること、ジェンダーバイアスを取り除く努力をすること。
それが自分たちと次の世代の女の子を救い、もっと生きやすい社会にすることができるのではないだろうか。

こちらの本は、女の子のお子さんがいる親御さんにもおすすめですね。


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