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カレー沢薫さんの「ひとりでしにたい」というコミックを読みました。
叔母さんの孤独死をきっかけに主人公が自分の死と残りの人生について向き合う話です。
バリバリのキャリアウーマンで生涯独身だった伯母が孤独死。黒いシミのような状態で発見された。衝撃を受けた山口鳴海(35歳独身)は婚活より終活にシフト。誰にも迷惑をかけず、ひとりでよりよく死ぬためにはよりよく生きるしかないと決意。愛と死をひたむきに見つめるフォービューティフルヒューマンライフストーリーの決定版誕生
ひとりでしにたい(1)ー Amazon
扱うテーマが「死」「孤独死」「終活」ということで
かなり深刻な話のはずなのに主人公の鳴海の明るさや顔芸などでうまく緩和されて重たくならずに済んでいます。
悠々自適で気楽な独身貴族に見えたおばさんは
実はプレッシャーに襲われていて誰にも頼れない、弱音を吐いたり弱い部分をさらけ出せないために孤立してしまった。
それゆえに悲惨な死を遂げてしまったのではないかと姪である鳴海は気付きます。
周りの大人のケースを観察するようになりますよね。
鳴海が生きていると遭遇する困難なことを周りの方から学ぶようになります。
妻が体調が悪くなっても夫はなんのケアもしないとか!
夫の方が生活能力が低いから子どもは介護するのが大変だから父親が先に死んだ方が良いと願っているとか!
同僚の女性が母親が要介護の状態でも介護も様子を見にすら来なかったとか「クソの役にも立たない。いないのと同じ」と言い放ったりとか!
奨学金を複数もらって良い大学に入ってもバイト漬けで身体を壊して退学して学歴は得られず借金だけが残ってしまった子とか!
孤独死したくないなら生きる希望への投資をやめてはいけないとか!
人間ドラマの嵐!そしてリアル!!
とくに要介護の母親の世話や様子を見にすらこない実の兄への苛立ちをあらわにしていた松岡さんに首がもげるほど同意。
私に兄も自分のことで手一杯だし生活能力も低いから絶対母の介護無理だと思っているので
この鳴海の同僚の松岡さんのように実の血のつながりのある兄にもこんなに煮えくりかえるほど怒りを覚える日がいつか訪れそうで怖いのです。
母のことも不幸にならないように準備を考えなくてはいけないなと強く思いました。
生きる希望への投資をやめてはいけないという点にも強く同意。
2020年はコロナ危機で(今も継続している問題ですが)失業して自分がやりたいと考えていることが計画通りにいかず立ち止まる時間に
「夢とか、自己実現とかもうどうでもいいや」「猛烈に好きな人も好きなものもないし」と思って過ごしていた時期があり
そのときの腐った生活っぷりがひどかったんです。
起床時間や生活のリズムは乱れて、勉強もなんのためにするのか分からなくなって「なにやっても無駄だし」と意欲も湧かなくて、コロナウイルスに感染するのも怖いから運動やストレッチもしない、人にも会わない、病気の猫の世話、ストレスによる顎の噛み締めの痛み、暴飲暴食。。
色々なストレスがわーっと押し寄せて、すべてのやる気が失せて人生で初めて廃人になりかけました。
今は拠点を変えよう!と引っ越しをして生活の再建にやっと着手できたところで気持ちが落ち着いてきています。
そんなときにふと「人を好きになりたい!」「応援したい!」
「
心と体が元気になってきてやっと人やものを愛する気になれました。
私は自分を大事にできていないのに他人やアイドルとか推しを愛することはできないんだな〜と思いました。
いつ推しに会っても恥ずかしくない理想の自分でいよう!と思うと生活にハリがでるんですよね。
そんなことを「ひとりでしにたい」で気づかされました。
本作は終活がテーマではありますが
自分の人生の終わりを考えるということは
実際にはその終わりに向けて逆算して今ここからどう生きていくかを考える必要があり
「どう生きていけば私の人生はより良い人生となるのか」や「幸せな人生」について考える契機になる本だと思います。
ひとりぼっちで死んでいった叔母さんの死から何を学ぶか
周りの知人たちの人生の断片を知り、自分の人生にどう活かすか
家族や友人、他者とどう関わって生きていくか。
自分のこれまでの行動を省みて、これからに活かすことができるのではないかと思います。
いや〜〜〜〜〜勉強になりました〜〜〜!
2巻も発売中です!ぜひ続いてほしい!